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14/12/2020

コロナ渦、少し目標をたててみた

まったく不毛な1年を過ごしてしまった。コロナ渦でのステイホームやテレワークの普及で、以前より自由な時間が増え、新しいことにチャレンジした人、何かに打ち込めた人、家族との時間を満喫した人、色々ポジティブな恩恵を受けた人もいたかもしれないけれど、残念ながら私にはそういう特典は何もなかった。大切な人生の一部でもあるフランス行きの機会は奪われ、家事の仕事が増え、教室は受講生が激減でも仕事量は変わらず、高齢の両親と自由に会えない大変さや伯母を看取れなかった悲しみや...もちろん自分の要領の悪さのせいもあるんだけど、まったくひどい1年だった。

こんな状況をなんとかしたい。フランス語の上達はほぼあきらめ気味だけど、重い腰をあげてひとつ取り掛かろうと思っているのは、フランス留学時代に1年通った専門学校の講義を、自分の教室で美術史入門講座として行う事。

フランスに行ったのはもともと留学なんかではなくサバティカル休暇のつもりだった。初めて行った二十歳のヨーロッパ旅以来、フランスをもう少し深く知りたいと、社会人になってお金を貯めた。1年くらいはなんとか暮らせるくらいに貯金ができた時、仕事を辞めてフランスに、パリに旅立った。今思えば、一人暮らしの安月給でよくあれだけ貯められたものだ。

当時はまだ日仏がワーキングホリデーの協定を結んでいなかったので、私は仕方なく学生ビザを取るために語学学校に登録した。でもフランス語の習得にはあまり興味もなく、1年間無事に滞在出来ればそれで良かったのだ。せっかく貯めた滞在費を語学学校の学費に使うのも嫌だったので、最低限の登録を学校を休み休み、登録の権利を引き延ばしながら1年が過ぎた。

こんな風に私のパリ滞在1年目は決して攻めの1年ではなく、なんとなくのんびりと四季のパリを眺めて終わっていった…と同時に、その頃からちょっぴり欲が出てきたのだった。せっかく来たのだから何か形として残るものを持って帰りたい。それはやっぱりディプロム???

次の新学期が始まるまでにはまだ数か月ある。その間、色々な学校を見に行った。フランス語に真剣に取り組む???それは頭から選択肢になかった(笑)国立の建築学校(ほぼ無料の6年制)なら5年目に編入できると面接してくれた校長先生に言われたけれど、実務には不向きだと離れた世界だったのに、今さら異国で図面を書いたり模型を作ったりするのは無理な話だった。当時一番興味があった映画の裏方の専門学校ものぞいてみたものの、高い学費と卒業まで数年かかる事もあってチャレンジする勇気は出なかった。色々な学校を聴講しながら、学校の特徴や雰囲気を見極めていた時期。

そんな時、同じ語学学校の友達が教えてくれた。クリスティーズ・エデュケーションがパリにも学校を創ったと。サザビーズと並び世界的に有名なオークションハウスが運営する美術史の専門学校。私立なので学費はかかるけど1年で終了すること、プログラムがフランスの美術史に特化した内容だったのも気に入ったので、最終的にはここを受けることにした。夏のバカンス・シーズンに入る前に簡単な面接試験が行われた。外国人向けに特別なヘルプがあるコースと、通常のコース。願書では外国人コースを希望していたけれど、面接試験で通常のコースを勧められた。受ける授業は同じだけれど、試験での特別扱いや補習がなく、最終的に手にするディプロムの価値が違うと。教授陣のお墨付きがあるならと、通常コースを受講することにしたが、結果的にはかなりハードで、この1年間は人生で一番勉強したのではないかと今でも思っている。

午前中には教室で講義、午後にはそれに関連する美術館やアトリエなど現地での見学会。1日かけて遠出をしての見学会もたくさんあり、それも興味深かった。3学期制で頻繁に試験や課題もあったので、毎日やらなければいけない事がいっぱい。電子辞書やデジカメ、インターネットがない時代なので、その日の復習をするのも気が遠くなる作業。その上3学期目は+小論文まで仕上げなければならない。今の語学力や便利なツールがあれば、もう少し身になる勉強ができたのかもしれない、という残念な気持ちは強くあるけど、あの環境下で頑張れたことはちょっぴり誇りに思っている。

無事にディプロムを手にして、次にパリ大学の修士課程に合格した。私はクリスティーズの学校を出ても美術のエキスパートになれるとは思っていなかったけれど、あの1年があったからこそ修士課程にも入れたし、修士論文も仕上げられたと思っている。クリスティーズは私にとっては、まさに予備校のような1年間だった。

充実したあの1年からなんとすでに22年がたち、あの時勉強した事はきれいさっぱり忘れてしまった。でもあの時の1年間のレジュメは今でも捨てられずに手元に残してあるので、それを私自身見直しながら、フランス美術史の入門講座として小さなセミナーを開きたい。実は創立当初から考えていたけれど、今になってしまった。フットワークは常に重い方だけど、コロナ渦のいつもにも増した非充実生活があったからこそ、重い腰があげられたのかも知れない。

でも1回目の講座の準備をしながら、さっそく後悔している私もいる(笑)私は何かに没頭すると、どんどんメインテーマから脱線しながら他のものを読みふけってしまう傾向があるので、なかなか原稿を書き終わらないのだ。こんなことを毎日している先生方には本当に頭が下がる。ともかく私は超マイペースにでもこのセミナーをやり遂げることを今の目標にしたい。月に一度のペースなので数年かかるだろうけど、その頃教室は20周年か…。コロナ渦、生き伸びれるかな。

追伸
残念ながらクリスティーズ・エデュケーションのパリ校は閉校しました。

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