失われた時
行きつけのカフェがどんどんと閉店していく…これはとても不幸な話だ。
私は基本、何かを気に入ると、浮気をあまりせずに、ひいきを続ける男子体質。お店を気に入るのも、人を好きになるのと同じで、あまり理屈はなく、でも人と同じで、そう簡単に好きになれる訳ではない。でも好きになったら、もう生活の一部。それを突然奪われる悲しみは、言葉では言い表せない。
フランスではもちろん、お気に入りのカフェに通うという生活があった。日本に帰ってから、もうずいぶんと時間がたったけど、まず身を寄せた実家の近くにオープンした奇跡的なカフェ。そこは、私が見つけてから3か月後くらいに閉店、オープンしてからもわずかだった。
大阪に移り住んでからも、色々なカフェをめぐるも、これぞ私のカフェ!と呼べる空間にはなかなか出合えず、流浪の民状態が続いていた。カフェもパン屋も、通い続けるためには、家から遠いのでは意味がない。街に出れば、そりゃあ、素敵なカフェでもなんでも世にはあふれているけど、素敵だから居心地がいいとは限らないし、気に入るとも限らない。もし気に入ったとしても、やはり日々の生活圏の中にないと、通い続けることはできない。けっこう難しい問題だった。そして私にとって行きつけのカフェがないと言うのは、塩気のないポテトチップスくらいに味気ない生活を意味する。
今の家に住み始めて、もう6年近くがたつけど、一番好きだったカフェは今年の春が来る前に閉店。最近はあまり通えてなかったけど、久しぶりに行ったある日、オーナーさんが「もうすぐ閉店することになりました」と、声をかけてくださったので、閉店後もメールのやり取りなんかで彼らとはご縁が続いている。
お気に入りのお店がなくなって、悲しんでいた私の前に現れた、これまた奇跡的なカフェ。これはもう一目惚れと言うしかないない coup de foudre だった。それが、今年のまだ暑くなる前だったと思う。それからそのお店に通いだして、幸せな時間を取り戻したも束の間…、涼しくなり始めた頃から、臨時休業の日が増え、とうとう閉店のお知らせがHPでも発表された。最後にお店で時を過ごせたのはいつだろう。ちゃんとお店の人にも、今までのありがとう、の気持ちを伝えたかったな~。こんな形で、プツっとご縁が切れてしまうのは、私のカフェを失ったのと同様に、悲しい出来事だった…。
昨日、フランスからやってきていたフランス人2人と、そんな話をしていた。パリもどんどん昔ながらのカフェが失われて、行きつけのカフェを失う人が多い。standardisation が進み、フランスのカフェ文化も危機を迎えているのだ。どうなるんだろう、これから…。
Commentaires
mikaりん
こんにちは。
めっきり秋らしい季節になったね。
お気に入りのお店が閉店してしまうのは、ほんと寂しいね。私はスタバも好きだけど、やっぱりほっこりできるオリジナルなお店がいいな。
> とうとう閉店のお知らせが
ひょっとして、この前行きそびれたあのお店?
時代の流れに負けず、真摯なオーナーのお店をこれからも応援していこうね~。
また発見したら教えてね。
じゃまた。
Rédigé par: hageo | 14/11/2011 14:56
hageo
そうなの、とうとう正式に発表されてました。
残念やったわ。
今年の春からお世話になってて、すごく気に入ってたのに…。
なんか、どこに行っても今はピ~ンと来る場所がぜんぜんないわ。
でもまた良いところが見つかったら紹介します。
Rédigé par: mika | 15/11/2011 05:44
こんにちわ。久しぶりだね。
とってもよくわかる。そのさみしさ。
私は食べもん屋さんで気に入ったところは次々に閉店になってしまうわ。
小さなお好み焼き屋さんとか。小さい居酒屋さんとかね。
最近ではとあるボディソープの香りがすごく好きで、
「これで一生ボディソープはこれでいく」とか思ってたら
次のシーズンにその香りのものだけ消えてたり、
コープの昔からあるミックスジュースを毎週購入していたらいきなり製造終了になったり、
今日は子供の雨の日の遊ばしに最適だったホームセンターの
ペットの魚コーナーがリニューアルでなくなってたり、
なんか自分の気に入ってるもんって世の中ではイケてないんだなと
考えてしまう今日この頃。結婚式場が3か月後につぶれたのはびっくりしたけど。
なんか長くなってしまったね。ぼやいてしまったわ( ̄▽ ̄)また話そうね(o^-^o)
Rédigé par: nao | 24/12/2011 00:10
nao
そうなんだよね。
店だけでなく、商品も気に入るとなくなることが多くて
あげるときりがないよ~。
だから、変わらないってすごく大切で
だからパリが好きだったのに、
パリも最近は心を売ってるからな(>_<)
それでフランスの田舎に目が行ってしまうのかも。
Rédigé par: mika | 24/12/2011 01:00