さびおま
今年は例年にも増して観劇イヤー。2010年末からけっこう芝居づいているのだけど、2月には「ろくでなし啄木」「時計じかけのオレンジ」を観て、3月には「金閣寺」、4月は「国民の映画」「港町純情オセロ」。どれもはずれなく、すごい役者揃い、良い芝居に恵まれている。特に「国民の映画」は、さすがに三谷幸喜が自身の生誕50周年を祝うために力を注いだ作品だけあって、見応えがあった。
少し間が空いて、今週いよいよ私の夏の演劇祭がスタート。6日(水)の「淋しいのはお前だけじゃない」で幕を開け、9月までに大人計画の「サッドソング・フォー・アグリードーター」、新感線「髑髏城の七人」、「太陽に灼かれて」「血の婚礼」「クレージーハニー」の6作品が控えている。
さて、この「さびおま」、昔の人気TVドラマの舞台化らしい。今回もその程度の予備知識でやってきた。開演の10分くらい前に席について、舞台を見渡す。今回は前から7列目のほぼ左通路側。でも高さが十分にあって、全体をしっかりととらえられるので、端であることはまったく気にならない。
開演の5分前くらいに、真横の扉が開いて、入ってきたのはなんと主演の中村獅童。ビックリしたなあ〜。そのまま私の背後付近の空席に腰を下ろしてしまった。ち、近すぎる〜!最近、こういう、あらかじめ客席に役者を仕込む演出多いね。でも開演直前のざわついたホールでは誰も彼の存在に気づかない。隣のご夫婦が驚きながら握手を求めてたくらいで、他の人はまったくと言っていいほど気付かず…。直前に駆け込んできた初老の男性は、自分の座席につくために「すみません」と、彼の前を通過。まさか自分が声をかけて通路を空けさせたのが、今から観る芝居の主演俳優とは思わないよね。けっこうこの状況が面白くて、私はニヤニヤと気持ちの悪い顔をしてたに違いない。
そのうち彼の小道具の携帯電話がなり、それに応えるところから芝居は始まった。
肝心のお芝居は、もちろんよく出来ていたし、とても面白かった。連帯保証人として急に不本意な借金を背負わされた借金取りの男が、自分がこれまで取り立てをしていた人達と共に大衆演劇一座を立ち上げて、なんとかお金を工面しようと一致団結していく人情ドラマ。まさにthe 昭和な感じのストーリー。
夏の演劇祭の幕開けとしては素晴らしい作品で大満足。キャストもなかなかに豪華だったしね。
平岡祐太はTVで見ていて、アイドル俳優かと思っていたけど、けっこうちゃんと声も出てるし、背が高いので舞台映えもするし、演技もベテランに負けてなかったょ。ギターの腕前も披露!今後の彼にも期待したいわ。
大衆演劇の大スター、大川良太郎はやっぱりすごい迫力。毎日舞台に立っている人は違うというか…。役者の色気がムンムンで、彼のおっかけ(年齢層やや高し)が大量にやってきていた。宝塚ファンに匹敵するような殺気を感じるわ。おひねりが飛んだり、お札の輪っかが首にかけられたりしてたけど、あれは芝居の仕込みなのか、本物なのか…。いや、きっと本物だと思う。だって、芝居がはねたあと、カフェでお茶を飲んでいたら、彼のおっかけマダムが、ライバル達の行動を仲間に電話報告していたもの。あ〜、こんな世界が本当にあるのね…と、しばし感心しながら、聞き耳をたてていた。
もちろん主演の獅童さんも、さすが舞台役者(歌舞伎役者と言うべきか?)!初めて見たけど、彼の渾身の演技にはみんな惹きつけられていたと思う。なるほど、もてる男なわけね。
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