憧れの人、馴染みの人
今回リベンジに来たつもりが、完全にノックアウトされて、若干しおれ気味だった私。でもやっぱり南仏は素晴らしかったし、やっぱり来て良かったと思う事もしばしば。今朝はそれに+αな素晴らしい出来事が!!!と、言っても分かってくれる人はほとんどないと思うけど、とうとう私の憧れのあの人に会えるという、そんなポスターを見かけたのはちょうど2日前。「OSS117」で一躍スターの仲間入りをしたジャン・デュジャルダンの新作「un Balcon sur la Mer」の公開に合わせて、監督のニコル・ガルシアと彼が舞台挨拶にやってくると言う。もう嘘のような本当の話で、私は早起きをしていそいそとモンパルナスの映画館に向かった。
舞台挨拶と言っても色々なスタイルがあるから、どんな感じでやるんだろう…。ただ日本と違って、こんな大スターであっても、平日の午前中だし、そんなに人が集まらないだろうと言う事だけは想像できた。
日本では新作の公開は金曜日だけど、こちらは水曜日。案の定、映画館の一番大きなホールは半分も人が入ってなかった。上映開始時間の11時、係の人が彼らの到着の遅れを報告。最初に挨拶するんだ…って事は停留時間は短そ~。
10分くらい過ぎた頃だろうか?後ろの扉からだ~っと彼らが入ってきた。顔をよく見ようと前の方に陣取っていた私のちょうど横をジャンが通っていく。ひえ~~~。ニコル・ガルシア、ジャン・デュジャルダン、そして製作の男性、計3人が映画に対する思いを語った。時間にすると5分くらい???最後にジャンが「bon voyage」と言って挨拶終了。
この映画は監督自身も幼少時代を過ごしたアルジェリアでの初恋をベースに、大人になった主人公に起こる不可解な出来事…。そしてそれによって身を崩していく様子が描かれている。コメディ俳優として名をなした彼の演技派としての実力はすでに「Contre-enquête」で立証済み。これはまたそれとは違うラブ・ストーリーとしての要素も含んでいるので、新しいジャンの魅力が見られます!
と、ここで力説してもなかなか彼の映画は日本には入って来ないみたいですが…。
夢のような時間は、あっという間に終わり、映画もまあまあ良かったし、さて午後は何しよう…と、まずは映画館の近くにすごく安いストックの店があるので、そこにスーツケースを見に行く事にした。今回も帰りの飛行機はビジネスにグレードアップしておいたので、バゲージの制限が変わった今、ビジネスクラスは23kgの荷物を3つも預けられる事になった。いつもフランスからコリシモ(7kg制限の小包=41ユーロ)を3~5ケ送ることを考えれば、安いスーツケースを買った方が郵便局に行く手間が省けると言うもの。
あった、あった、40ユーロの布製スーツケース。1ヶ分の値段で3つ分の重量入れられる。これで十分!とりあえずお金を払い、閉店までに取りに来ますと言って、今度はゴブランへ。馴染みの人達、リディ母さんとブランジェのAさん(日仏カップルのパン屋さん)に会いに行く。
Seva Natura(13 Boulevard Arago 13e)は、私のパリの家族みたいなお店。いつ行ってもちり一つ落ちてない清潔な店内と、こだわりの食材がお気に入り。もちろん私にとってはリディ母さんと長男パスカルの優しさが一番の魅力。通常イートインは出来ないけど、私はいつも奥で食べさせてもらっている。今日もちょうどリディ母さんの手作り惣菜が出てたので(いつもあるわけじゃないのでラッキ~)、お腹も減ってたし、2つほど選んでランチタイム!
ひき肉のファルシとズッキーニの煮もの。野菜不足の私には嬉しいメニュー、それに母さんのお惣菜はとっても美味しいのだ。私は立って食べても良いくらいなんだけど、今日もテーブルをセッティングしてくれて、お皿に盛ってくれて、おまけのトマトまで添えてくれた。ミネラルウォーターまで開けてくれて、代金はいらないと言う。本当は家に呼びたいけど、毎日お店に出ててそれも難しいから、家に来たと思って遠慮するな…と相変わらず優しい母さん。その後、ちょうど休憩したいと思ってたから…と、いつものカフェにも連れてってくれた。
その優しさに応える方法はないかな???と思い、最近食料品のお土産はなるべくここで買うようにしている。今日も色々と説明を聞きながら、いくつか保存のきくものを選んだ。この2人の商品に対する思いは深い。それをマンツーマンで聞きながらの商品選びも私の楽しい時間。2人ともおしゃべりなので、ここに来るといつもあっという間に時間がたってしまう…。お店で、カフェで、女同士のおしゃべりはいつもきりがない。
そこにステファンから電話。今夜、家でルームメート達とラクレットをするから食べに来いとの事。今夜は残念ながらマガリと楽しみなお店を予約してた。でも21時からだから、アペリティフだけちょっと顔を出すね…と一旦電話を切り、今度は近くにあるAさんのお店へ。いたいた!「Aさん!」と声をかけると、いつも通り「あ~、おかえりなさい」と満面の笑みで一言。彼女は毎年こうして私を迎えてくれる。相変わらず忙しそうにお客さんをさばきながら「でもなんか、今回早くない???」正解です。いつもは春だものね。
私はここのパンが大好き。どんな有名店にも負けないくらい美味しい。今日もお気に入りのトラディションと日持ちのするパベを購入。おまけにつけてくれたお菓子も大事に抱え、再びリディ母さんの所へ。なかなか忙しくてパンも買いに行けないのじゃないだろうか?と彼女の分もパンを購入。パンを渡すと、なんか目をうるうるさせて喜んでくれた。値段の問題ではなくキリスト教の国ではパンを分かち合うと言う事には大きな意味があると言う。喜んでもらえて良かった…。
スーツケースを引き取りにモンパルナスに寄り、そこからまたバスで自宅へ。そこからメトロを乗りついでステファンの家へ。しかし遠いっ!!!メトロもめちゃくちゃ込んでるし、だんだん機嫌が悪くなってきた。それに駅から出ると雨まで降っている。超機嫌が悪くなった私だったけど、のんきな彼の顔を見ると怒りも若干おさまった。今日はずっと会いたかった彼のルームメート、ディディエにも会えたし、ここに来た価値もあったというもの。インテリなクマさんみたいな彼は、まだ若いのにこの広いアパルトマンのオーナー。ステファンを含めて3名の間借人がいる。フリーの看護士ってもうかるそうだ。
レストランをキャンセルして、マガリも呼んで、ここでラクレットを食べていけと何度も言われたけど、マガリとステファンはあんまり合わないし(前に会わせた事がある)、それに明日の夜、私はローレンちゃんのおうちでラクレットの夕べってのが決まっていた。楽しみにしてた店だし、明日もラクレットだから、残念だけど…とおうちを後にして急ぎ足で店に向かった。
今夜のお店は有名な chez michel(10 rue de belzunce 10e)。数日前に電話したのに早い時間はもういっぱい。私たちが到着した時も店内に隙間なく並べられたテーブルに空きはなかった。有名店なので観光客もちらほら。でもほとんどは地元のフランス人だと思う。みんなの活気ある雰囲気や笑顔に、評判通りの良い店と確認。ただ、日本人の私にはちと塩っ辛いかな…。まあ、それはこの店に限った事ではないけど…。
前菜には大好物サーモンのマリネ。なんと保存用ビンにぎっしりと入って登場。サーモン自体はめちゃくちゃ美味しいのだけど、粗塩がごろごろっと入っててそれはよけて頂きました。山盛りの葉っぱがありがたい。メインは乳飲子牛のフリカセ。ここのはサラサラスープであっさり目。野菜がたくさん入っているのも気に入ったけどフヌイユ(苦手食材)が~~~…ちょっとききすぎ。そしてデザートは…クイニーアマンを食べる気満々だったのに、お店に来たらそんなことすっかり忘れてしまってて、メニュー2段目のパリ・ブレストに即決。なんせ、これも好きなもんで…。後ではたと気付いて、後悔先に立たずです。…が、また来る理由が出来た。次回はクイニーアマンを必ず食べるよ~!
あ、ちなみに、こんな所にも日本人が…。サービスの女性が不慣れな様子なので話しかけてみると「はい、2日目なんです…」との事。なんか船を知らない人がいきなり大海原に放り出されてるみたいで少し気の毒だったけど、その分鍛えられるのも早いんだろうな。
今夜もお腹は満腹ぷ~。帰りのバスではやはり眠気に抗えず…。よかった、31番バスの終点が近所で…。
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