リベンジ2 ツールの聖地へ
L(2歳の次男)が部屋の前の廊下を走り回り、はしゃぐ声で目が覚める。また携帯の目覚ましもかけずに、携帯を握りしめて気絶していたようだ。7h30、Lに救われた。
身支度をしてリビングに行くとE(奥さん)はもう仕事に出かけていて、Alex.がH(長男)と朝ごはんを食べていた。LはいつもEが仕事に行くついでに、近所に住むAlex.のご両親の家に預けるらしい。繁忙期は出張でほとんど家にいないAlex.だけど、家にいる時、食事はすべて彼が作るそうだ。昨夜の食事もそう。働き者だ…。
9hにおうちを出発。今日は、日曜日のパパ、ゆるゆるAlex.のコーディネートで私はついていくだけ。2週間後に夏休みに入るHも今日は学校をお休みして、私たちのドライブに付き合ってくれるらしい。この遠足を楽しみにしてたんだって。たくさんDVDを選んで車の後ろで一緒に観よう!なんて可愛い事言う。仲間だと思われているからね~。でも悪いけど、実は君よりずっと大人の私なので、今日は窓から見える風景を楽しませてもらうわね。
5月に行こうと思っていた(けど行かなかった)ペルヌ・レ・フォンテーヌ(Pernes les Fontaines)でAlex.の用事を済ませてから、いよいよ本格的な出発。以前から彼に聞いていたおすすめルートを行く。
マザン(Mazan)を通過して、まずはル・バルー(le Barroux)という美しい集落にあるアベイ・サントゥ・マドゥレーヌ(Abbaye Sainte-Madeleine)に到着。ここは現役の修道院だけど、歴史はごく浅くて1970年に創立されたもの。ちょうど堂内からは厳かなパイプオルガンの音、ミサでもなく、中には誰もいなかったので練習だったのだろうか?1人だったらずっとそのまま聞いていたいくらい心にしみる音…。でも男子2名は落ち着きがないので、あまり長居出来ず、残念!
ちなみに修道院の前に植えられた3本の木は、貧しい人、困った人を受け入れるという証しらしい。
ところでなぜここに来たかと言うと、ここには商品の充実した売店があって、商品の一部はセナンク同様、ここの修道士たちが昔ながらの製法で作っているのだ。Alex.もおすすめのオリーブオイルはここの一押しみたいで、すごく欲しかったけど持って帰る苦労を考えて、ラベンダーのはちみつだけで我慢。ところが後で分かったんだけど、HPから購入可能!日本にも配達してくれるみたいだ。割れないか心配だけど、自分のスーツケースの中で割れるよりはいいよね。いつか買ってみたいな。
さらにマロセーヌ(Malaucène)を通過し、いよいよ山にアタック!1つ目の山モン・スラン(Mont Serein)そしていよいよ"プロヴァンスの巨人"と呼ばれるモン・ヴァントゥ(Mont Ventoux)へ。2000m級のこの山はリュベロンにいるといつも遠くに見える山。遠くから万年雪のように見える山の上部は、木の生えない不毛地帯。石灰岩がむき出しの状態になっている。その殺伐とした風景がまた、サイクリスト泣かせの厳しいイメージを作り上げているようにも思う。晴れていれば遠くにモンブランも見えるらしいけど、今日頂上は雲の中です。
ツール・ファンにはたまらない数々の名場面を生み出してきたこの山だけど、私にとって忘れられないのは、ドーピングの汚名を晴らすべく、リシャール・ビランクが孤高のエタップ優勝をここで果たした事。まっすぐ前を見据えて、指を高く空に掲げて、頂上のゴールを通過したその姿、いまだに忘れられないな…泣いた!映像があったので、みんなでおさらいしてください。
今年は残念ながらツールのエタップには入ってないんだけど、この映像でもわかるように山岳エタップはいつもたくさんの人が沿道を埋め尽くしている。だいたい当日の1週間ほど前からキャンピングカーで現地入りし場所取りをしないと応援するのも難しいらしい。TVで見ていたあの人たち、1週間も前からとは…頭の下がる思いです。
どうやら今日から20日まで自転車のイベントが行われているようで、道中、頂上ともにサイクリストと観光客でいっぱい。私たちが車で通過する横を、マイヨに身を包んだ本格的なアマチュア選手たちが一生懸命ペダルを踏みしめている。彼らは無名の人たちだけど、なんだかツールのオフィシャル・カーに乗って、選手を追走しているような気分になった。それ、夢でした…。
山を越えて、今度は反対側に降りていく。ラヴェンダーを見に行くためだ。最近の温暖化で開花がどんどん早まっていて、7月上旬だったのが最近では6月の下旬に咲き出すこともあるらしい。でもやっぱり今日はまだ早かった。亜種のラヴァンダンはぼちぼち咲き始めているけれど、ラヴェンダーはまだ。今年の冬はここプロヴァンスでも積雪と寒さが長く続く異常気象だったからか、すべてが遅れているらしい。2週間後だったら、良かったのに…。でもその頃私はもう日本。どっちにしても見られなかったんだから仕方ない。私が夏にフランスに来ることはあまり考えられないので(こちらの暑さに耐えられないから)、もうラヴェンダー満開の花畑は一生見られないかもね…。
ソー (Sault)で遅めのランチ。ここは特に見るものもないし、美しい村でもないけど、とにかくラヴェンダー畑で有名。小さい集落のわりにはレストランなど食べるところが多い。それもきっとサイクリストのメッカ、モン・ヴァントゥのおかげね…。
とにかく、この素晴らしい天候の中、憧れのこの山に(自力ではなく車だけど…)登れた事は今回のフランス滞在の大きな思い出になった。大切な休養の時間をさいて付き合ってくれたAlex.に本当感謝しなくちゃね。どうもありがとう。
Alex.の両親の家に寄ってぐずるLをピックアップ。それからおうちに帰ってしばしお庭で寛ぐ。そのうちAlex.が今日引き取ってきた新しい車の大掃除を始めた。明日からの長期出張に活躍するらしい。私はその隣で長椅子にひっくりかえり、インターネット。日本のJoがオンラインだったので、スカイプでおしゃべり。掃除中のAlex.もHも、恥ずかしがり屋のLもみんな登場。スカイプの実力を知ったAlex.、これからは出張中にこれで家族とお話できるね。そのうちEも仕事から帰ってきて、Eのお友達もやってきて、テラスで一杯。大人の時間です。
私は少しその場を抜け出して"仲間"のHとおしゃべり。学校やクラスメートの写真を色々と説明しながらたくさん見せてくれた。それとお絵かきの作品も!Hは明日、学校でお遊戯会があるらしく「mika、明日見に来れないの?」と、またまた可愛い事を言ってくれる。「今夜、列車に乗ってパリに帰るから無理なのよ」「今夜も泊まっていけば?部屋使っていいよ」「明日はブルゴーニュに行かないとだめなの、ごめんね」… 子供は可愛いけど、時にcruel。今度、会う時にはどんな彼になってるんだろう。いつまでもHに友達と思ってもらえる私だといいんだけど…。まあかなり中年なんですけど…、この親しみやすいカエル顔が受けるんだろうか、なぜか動物と子供には受けがいい。
さあ、それじゃあパリに戻ります。家族全員でアヴィニヨンの駅まで送ってもらって、しばしのお別れ。本当お世話になりました!子供のいる現役世帯に泊まるのは初めての事だったので、なんだか色々面白い事もいっぱいあって、エキサイティングな2日間でした!
次は、冬、会えるかな…。
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