奇跡
今朝方4時ごろようやくベッドに入ったのに、6時半にはもう目覚まし…。そういう日はちょっとがっかり。でもせっかくここにいるんだから、寝てばかりもいられない!今日はシャンパンで有名なランスへ遠足…なんだけど、行きにいい列車がなく、その上本数も少ないので、ローカル線を乗り継いで行くことにした。8時半に東駅で集合。今日の遠足のメンバーは計7名。
お昼前にランスに到着して、まず目指すのは微笑む天使像で有名なノートルダム大聖堂。ランスは一度ナンシーに車で向かう途中に少し立ち寄っただけ。そのときももちろんこの大聖堂は見たけど、今日は時間もたっぷりあるしゆっくり心行くまで見学できた。天使の笑顔もなんだか「いらっしゃ~い」って感じで以前より親しげに感じる。ゴシック建築の傑作でもあり、世界遺産に登録されているこの大聖堂は、王家の聖別式が行われたり、第1次世界大戦の空爆で甚大な被害をうけたり、多くの歴史と関わりのある場所。そして多くの人が目的にするシャガールによるステンドグラスなんかもある。
今回のランス遠足の一番の目的、それはもちろんシャンパン・メーカーのカーブ見学。F1でも有名なMUMMを16h30に予約をしておいた。でも私にはもう1つひそかな目的があったのだ。ランスに行くことが決まってから「絶対に行こう!」と思いつつ、なかなか時間をとれず詳しい事を調べられないまま今日の日をむかえてしまった。観光局の窓口でも「知らない」と言われ「だいたいこの辺じゃないかしら?」と教えてもらった場所をタクシーの運転手に示したけど、結局そこには教会はなく、運転手に事情を話すと地図で詳しい場所を調べてくれた。「なんだ、調べればわかるんじゃん!」と心の中で思いつつ、ようやく見つけたサン・ニケーズ教会。
到着してわかったことは、この教会はよくある教会のように一般には開かれておらず、地域住民のための教会なので、定期的に行われているミサや結婚式などのイベント時にしか開かないということだった。それは今日、中を見られないと言うこと。この地味な外観を見てもわかるように、外側を見たくて来たわけではなく、ルネ・ラリックの成型ガラスやナビ派モーリス・ドニのフレスコ画が見たくてここまでやってきたのだ。
でも、やっぱり駄目だったかぁ…と思ったとき、奇跡が起こった。
たまたま通りかかったおばあちゃん(背中も曲がっているようなおばあちゃん)が「教会の中を見たいのなら鍵を持ってる人に連絡してあげるよ」と携帯で(私よりも早い操作!)誰かに連絡をとり始め、そして「15分位したらあっちから小さなムッシューが来るから」と言って去っていった。なんだかあっという間の出来事であっけに取られていたら、そのうち本当に小さいムッシューはやってきた。タンタンのBDに出てくるおとぼけ教授みたいな感じのかなりお年を召した小さなムッシューは、とっても紳士で、ひとつひとつの作品を丁寧に説明して見せてくれた。その後、好きなだけ写真を撮っていいですよ、と私たちにたっぷり時間をくれた。
いろいろな事で疲れていた最近の私は、見たかったラリックより、ドニより、この神々しいキリストの姿にひどく心を奪われた。ここに来る人々を包み込むように天上で笑みをたたえる彼の姿に、今日ここに来れたことを、そしていろいろな偶然が引き起こしてくれた今日の奇跡を、心から感謝した。
私はキリスト教信者ではないし、これからもあらゆる宗教には興味を持たないと思うけど、こういう心の動きにはいつも素直でありたいな、と思うわけです。
おじいさんの説明でわかったことだけど、この教会の周辺に広がるシテ・ジャルダン(Cité-jardin=いわゆる郊外型ニュータウン)は、当時最新のコンセプトと設備を持って造られ、多くの関係者が見学にやってきたそうだ。ここで生まれ育ったおじいさんは、この地域にも教会にも誇りを持っているようだった。
ありがとう、おじいさん。また必ず来たいと思います。いつでもどうぞ…、と連絡先をもらった。またおじいさんの案内で教会に入れるように、どうか長生きしてくださいね。
Commentaires
みかさんのblogとSちゃんのblogをチェックするのが
日課になってます(笑)
ステキなフランス滞在日記にいいな~とため息
そしてサン・ニケーズ教会のとっても素朴な建築がいい
みかさんの画像もステキです
ここ最近起こる嫌な出来事に折れかけのわたくし
大きく広げた両手と微笑むキリストの画像になんだか
ジーンとしてしましました
同じく宗教事態にはピンとくるものは無いのですが
日常に起こる不思議な偶然とかは
目に見えない何かはあるのだと思いますです
Rédigé par: chiho | 22/04/2009 14:32
chihoさん
ご愛読ありがとうございます!
体力的にはかなりきついですが(笑)
充実した日々をすごしていますよ。
chihoさんもblogに書いていたように
いつか一緒にいける日が来たら
ぜひ、この教会に行きましょうね。
ほんとに泣けるほどやさしいお顔でした。
Rédigé par: mika | 22/04/2009 17:05