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27/04/2008

Maison Louis Carré

P4270092今日はフランス人の姉(のような人)で建築マニアつながりの C とパリ郊外に建築探訪の遠足に出かける。お天気はまずまずだ。

アルヴァ・アアルト(ALVAR AALTO)と言えば、建築を学ぶものなら知らない人はいないくらい有名な20世紀を代表する建築家の1人である。とは言え、作品の多くは彼の出身地であるフィンランドにあり、フランス建築にどっぷりの私にはなかなか縁のない建築家でもあった。

P4270100そのアアルトがフランスに唯一残した作品、Maison Louis Carré (1959年完成)と言うのがあるらしい。数年前まで施主の家族が所有していたらしいのだが、現在はアルヴァ・アアルト協会が買い取り、修復に取り組んでいるとの事。同時に週末のみガイド付きで公開していると言うのだ。それならば行かないわけにはいかない!その上、この作品は建物だけでなく、家具、照明、ドアの取っ手にいたるまで、すべてアアルトがデザインした隠れた名作なのだ。

P4270102パリのモンパルナス駅から Monfort l'Amaury-Méré 駅までは約30分。そこからはタクシーで行くしかない。パリから南西40kmくらいのところだろうか。敷地の入り口から長いアプローチを抜けると建物の全景が見えて来る。ちょうど70年代に、私もこんな形の屋根の白い家に住んでいたので、ちょっと懐かしい感じ。でもここは広大な敷地に建つアアルトの作品。私たち一般人の注文住宅とは訳が違うのだ。さすが建築家がすべて手がけたと言うだけあって、ディテールにも多くのこだわりが見られ、30年~の近代化の中で冷たくなりがちなデザインも、木をたくさん使ったり、カーブを描くことで、温かみのあるものに仕上がっている。日本人の私からすると、そうか?と思うのだけど、アアルトが日本から影響を受けたと言う説明も所々で聞かれた。

P4270118_3公共建築や大型建築を手がけてばかりいると、あまりに尺度が違いすぎて心地よい住宅ってものが作れなくなるような気がするんだけど、やっぱり偉大な建築家に死角はないって事か。有名なアアルト自邸((1935年~36年)やマイレア邸(1938年~39年)のエスプリが、20年経ったここでも同様に生かされているのがすごい。

この住宅の依頼者はルイ・カレと言う有名画廊のオーナー。仕事の関係上、アーティストとの交流も多く、アアルトとも個人的な親交があったようだ。週末ともなると頻繁にパーティが行われていたらしく、広々としたお庭にも人があふれかえっていた…と言うのは、今の静けさからは少し想像が難しい。

P4270132_2ガイドをしてくれる男性は週末ここに泊まりこんでいるそうだ。建築ファンの私たちからするとなんともうらやましい限りだけど、家中を好きなように使えるわけではないから、ま、そんなに楽しくもないか?いくつものアネクドットを織り交ぜながらの説明はとてもわかり安くて、おもしろかった。あ、そうそう、私たちは入場時にまるで手術室に入る時のように、不織布の靴カバーをはかされます(笑)。触るな!当たるな!と言う当然の警告を発する彼の指がす~っとオブジェをなでるのを私は見逃さなかったぞ(特権か?)。

建築家がすべてをトータルコーディネートした邸宅と言うのはいつも大きな感動を与えてくれる。グラスゴーにマッキントッシュのヒル・ハウス、ブリュッセルにオルタのオルタ邸があるように、ここもこれから大勢の人が訪ねてくるんだろうな。パリのギマール邸が、こういう形で保存されなかった事は本当に残念としか言いようがない。なんでこんな歴史的建造物の天国にあって、あんな憂き目にあったのか…。マルロー法がもうあと10年早かったら事態は変わっていたかもしれないのに…。本当に悲しい…。

P4270159 この家の敷地の向かいには欧州統合に尽力した1人、ジャン・モネの自宅がある。こちらは立派な茅葺のいたってフランス的なスタイルである。その上、入場無料!アアルトの方も、こちらも、広い庭園があるので、天気が良い日なら気持ちよく過ごせる。ただこの2軒の家以外何もないので、夏場ならカフェテラスでもやってはいかがでしょう?でないと、あとはフランス人の大好きな”ピクニック”しか飲み食いの道はない!!!

18918409パリに戻り、モンパルナス界隈で C と軽く夕食を済ませた後、私は一人映画館に吸い込まれていった。まだ明るいし、こんなにたくさんの映画館があるモンパルナスにいて、大人しく帰れるわけがない。今夜はちょうど私が到着した週に公開された「Passe Passe」を選ぶ。お気に入りの俳優の1人 Edouard BAER が出てるから…なんだけど、いまいちだったよ、マガリ…。

 

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