南仏プロヴァンスの休日 その1
いよいよ私のフランス滞在も終盤。この日が早く来てほしいような、来てほしくないような、そんな複雑な気持ちでプロヴァンスへの出発の日を迎えた。
リヨン駅10h20発のTGVに乗る。今回の旅の友たちは、神戸に住む妹分のFとそのお母さんTさん。前夜も遅くまでアパルトマンで仕事をしていたので、しばらくはFと話をしていたものの後は爆睡。あっと言う間にアヴィニヨンに到着していた。
アヴィニヨンの駅にはJoが迎えに来てくれた。先日、パリで出会ったときに私がプロヴァンスに行く話しをすると、彼女は南仏にも拠点があるらしく、アヴィニヨン郊外に住む彼女の仕事のパートナー、自宅でお料理教室を開いているキャロルさんを紹介したいと言われて、会いに行くことになった。日本から到着したままのF達のスーツケースと私を乗せ、Joの車は緑のお城、château vert へ(F達はその間 アヴィニヨン観光)。château と言ってもお城のような立派な建物ってわけではない。昔のchâteau のような建物の一部を残しているだけで、あとはプロヴァンスらしい素敵なおうち。幸い太陽が出てきたので、私はまた写真を撮りながらお庭を散歩していると、隣に住む少年が初めて見る日本人が珍しいのか、お花を摘んでプレゼントしてくれた。こんな若い子にお花をもらったのは私も初めてよ! merci, J君。ほっぺにお礼のビズ。
昨日は結婚式のお仕事だったらしくキャロルさんとだんな様なお疲れ気味だけど、軽くアペロの後、気取らない軽いお食事をそれでも2時間くらいかけて頂いた。Joさんは1年のうち、数ヶ月はインド、それ以外にも2~3回外国を旅し、パリやプロヴァンスを行き来する活動的な人で、日本も含めアジア諸国の事情にも詳しい人だけど、キャロルさんはあまり知らない日本と言う国に興味津々。色々と妙な質問もしてくるけど、女性3人で、あーでもない、こーでもない…と、なかなか充実した会話だったような…。
夕方になるとF達が観光を終えてタクシーで私を迎えに来てくれたので、荷物を積みかえて一路、ゴルドのお宿へ。懐かしいウェンディが笑顔で迎えてくれる。再会のビズ。去年会ったときは出産後でちょっとぽっちゃりしていた彼女も今年はきりっと引き締まってかっこよくなっている!ああ、私もこんな体になりたい…。な~んて思いながら、今年の素敵なお部屋を紹介してもらう。FとTさんは去年私が泊まったメザニンのある Félicie、私はOncle Jules。私の貧しい語彙では表現しきれないほど、もうここにいるだけで幸せを感じさせてくれるお宿だ。
去年はテーブルの上のゆりかごの中にいたエマちゃんももう立って歩いている。ご主人にも挨拶をして、Gordes へと向かう。最初、今夜はここで夕食と思っていたホテル La Bastide de Gordes に立ち寄ると、もう予約でいっぱいとの事。すごい、こんな事は初めてだわ!レセプションのお兄さんがおすすめですよ…と教えてくれたのは、明日の為にウェンディに教えてもらっていたレストラン le Clos de Gustave だった。「今ならまだお席があるみたいですよ」と言われて、急いで行ったけれど時すでに遅し…だった。
と、言うことで村の入り口にあるレストランMon père était pâtissier を試してみることにする。20h30 の開店までにまだ少し時間があったけど、座って待っていてもいいですか?と聞いてみるとOKの返事。小さなレストランでテラス席に案内されたのだけど、途中からだんだんと寒くなってくる。アペリティフに絞りたてのオレンジジュースを頂きながら、Fと私は黒オリーブとアンチョビのペーストを塗りながらパンを完食してしまっていた。
ここは本当に小さなレストランで、シェフ一人と慣れない手つきの(でも一生懸命で可愛い)給仕の男の子だけ。メニューも一つだけで、今夜は前菜に天然もののサーモンのタルタルに生姜やアボカドなどを合えたもの。これを頂いた時点でFは寒さに耐えられなくなり、2階の個室に移動。もともと用意されていなかった空室に急遽テーブルと椅子をセットしてもらう。暖房も勝手にオン!次のメインは子羊のもも肉、 サフラン・クリームソースとほくほくのジャガイモ、デザートはサクランボのクラフティ。どれも素朴な感じのお料理だけど、どれもおいしくて私は大満足。強いて言えば、メインのお料理がもう少し温かければよかったけど…。
途中から雨が本格的に降り始めていた。今日は天気が良かったので、3人とも傘は持って歩いていなかったし、お宿は遠くないけれど、この雨の中歩いて帰るのはちょっとなあ…ってことなので、タクシーを呼んでもらえませんか?とお願いすると、もう仕事を終えてTシャツ姿になっていたシェフが「じゃあ、私が車で送っていきましょう。そこに車があるから待ってて!」と言ってくれる。なんて親切なのかしら…と、一同で感動。でもやってきた車には運転席と助手席しかない。年の順ってことでTさんと私は重なるように助手席に座り、Fは若いので後ろの荷台に…。まあ車だと2~3分だからね、我慢よ!だって本当に助かったし、ありがとう、シェフ!また来年、伺いますね。
夕食を食べている時、去年からお世話になっているスマートな運転手さんalex から電話がかかってきた。「明日は予定通りmidiでいい?」…こ、この人こんなに南仏なまりきつかったっけ…、と少し呆然としながら「はい、予定通りお願いします」と答える。明日から最終日まで彼のお世話になる予定。
宿に戻るとまた強烈なラベンダーの香りと信じられないほどの静寂が待っていた。ここにいる幸せを味わいながら深い眠りにおちていきます…。おやすみなさい。
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