ぞくぞくするくらい

心が動く作品に久しぶりに出合った。連続ドラマ「白夜行」である。

残念ながら第1回目を見ていなかったので、少しわかりにくい部分もあったのだけれど、最終回の今夜まで、実は心の一部は結構この物語に占拠されていた部分があったのだ。最終回はどうやって終わるつもりだろう…と。そしてエンディングにいつもいい具合にかぶってくる主題歌「影」が野菜を洗っていても、自転車をこいでいても、何をしていても頭の中で繰り返しかかっていた。主人公二人の重い、強い関係性に思うところがたくさんあった。

エンディングは満足。フランス映画のように雪穂の人生を描ききらずに終わっていった。彼女は幸せにならなければならない。人は気軽に人の幸せを祈るけれど、人のために、自分が犠牲にしてきた人のために幸せにならなくてはならないというのは、それはなかなかの難行ではないだろうか？その重い足枷を引きずりながら、独りでどうやって残りの人生を生きていけるのだろう。いつも私は思うのだけど、残された人は幸せではないって、どうして先に逝く人は考えないのだろうか？

このドラマのすごかったところ、それは脚本のよさと、役者たちの演技。武田鉄矢演じる笹垣の鬼の形相も、山田孝之演じる亮司の空虚なやるせなさも、文句のつけようがない。

毎回、主人公の亮司のモノローグが印象的に使われているんだけど、たぶん小説にはない台詞なんだと思う。くせの強い小説の映像化は難しいと思うけれど、これはまた別物の作品として強烈な個性を放ちながら独自の世界を築き上げていた。小説も読んでみようと思う。また違う感じに心がしびれることを期待しながら…。