自転車の勝ち

Sの来日以来、彼に私の愛véloを奪われしまい、公共交通機関利用の日々である。まあもともと彼のものだったのだから仕方ない。２週間くらい不便な生活を我慢してあげよう・・・と言っている間に、もう彼の滞在も残り数日となった。

そんなわけで昨日最寄駅からリュックを背負い、なんだか戦後引揚者のように疲れ切って家に向かって歩いていたら、背後で私の名前を呼ぶ聞きなれた声・・・。振り返るとSが上半身裸で汗だくになって私の愛véloにまたがっている。

「qu'est ce que tu fous là, toi  ? 」と私。何でも長堀橋で友人と別れて、その人の家まで競争をしていると言う。でも私が見えたから声をかけに道路を渡ってきたらしい。自転車と公共交通機関の競争。結果は２分彼の勝ちだったらしい。声をかけなかったら３分勝ちだったかな？

私もパートナーとこんな賭けをしたことがあった。とある場所で「じゃあね」と別れて、私はそこから電車で実家に向かった。およそ１時間くらいかかるだろうか。もちろんパートナーは自転車で。だいたい私の実家の位置だってはっきり教えてないし、相手は自転車だし、私が勝つにきまってるじゃん！と激旨ピザをかけての競争だった。なのに、実家に帰ると、もう自転車がそこにあった。

私のほうが絶対に先につくと信じきっていた私は母にそのことを告げていなかったのでいきなり知らない男の人が汗だくで尋ねてきて、母もたいそう驚いたに違いない。彼はシャワーまで浴びて涼しい顔で私を待っていた。

なんか、懐かしいな・・・けっこうもう昔の話、青春の日って感じでしょうか。